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新型コロナウイルス(COVID-19)の影響に対する弊社の方針について

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響に対する弊社の方針について

 

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響は甚大で、日本だけでなく世界が未曽有の危機に瀕していると言える状況であります。実際に感染をされてしまわれた方やそのご家族、そして様々なお仕事、立場において今も戦っておられる方、被害を受け苦しんでおられる方が大勢いらっしゃると思います。心よりお見舞い申し上げます。

弊社としても、今回のような有事の際の影響を特に受けやすい業種の一つと言えるイベント・エンターテイメント業界で非常に苦しい対応を迫られているところです。

3月に入ってからのイベントやコンサートは、その殆どが中止となり、この自粛の流れは少なくとも6月までは続き、それ以降もなお不透明な状況です。この期間、本来の得られたはずの売り上げはほぼゼロとなります。同じ状況の方は少なくないはずです。

そんな中、図らずして自由な時間が生まれ、日ごろなかなか落ち着いてお話のできない方からお話しや意見交換をさせていただく機会が増えました。これはお取引先様、アーティスト、フリーランスのエンジニア、同じ経営者としての横のつながりなど多岐にわたり殆ど毎日行っております。

この日々の面談により、改めて分かった問題・課題、そしてカワサキミュージックキャストの役割について、一定の整理がつきましたので方針として発表させていただくことといたしました。あえて簡潔にまとめることをせず、お伝えをしたい現状や経緯、様々な人の声と代表者としての所見を含めながら申し述べさせていただきますことをご了承ください。

 

私たちにとって欠かすことのできない音楽、アーティスト、スタッフを守るため、“カワサキミュージックキャストができること”として本気で考えて出した一つの答えです。

長文となりますが、お時間のある方はどうかご覧いただきたく、お願いいたします。

 

【イベント・コンサート業界の悲鳴、今現場で起きていること】

アーティスト、エンジニア、イベントスタッフ、制作会社など、一つのイベントや作品を作るには、このような人々の力が不可欠で、これらが一つとなることで観客、主催者、スポンサーの満足と成功に結び付くものであります。今、この人たちの多くが本来のお仕事をする術を失い、収入(売上)が限りなくゼロに近い状況になっています。近年では、演者側も裏方側も会社に籍を置かないフリーランスが多くおり、弊社含めこの方々の存在に救われている企業やイベンターは少なくありません。フリーランスは会社員とは異なり、お仕事が止まった瞬間から収入も止まり、正式な形で保障されるものも少ないです。十分な貯蓄がある方は少なく、この状況が数か月続けば(下手すると1か月でも)立ち行かなくなります。

 

【“キャンセル料”問題について】

たびたび話題にあがることもある「キャンセル料」ですが、今回ほど同時にこれが発生した前例は歴史上無いことは疑う余地もありません。この問題については払う側、受け取る側両方からの情報を合わせて100件近く確認しておりますが、全体を通じて「キャンセル料が支払われた」というのは3~4割ほどです。残りは1円ももらえていないということです。

 

<実際の声>

「中止の連絡を受けて、それっきりです。キャンセル料の説明はありませんでした」

 

「こういう事情での中止なので、キャンセル料のことを言える雰囲気ではないので諦めました。無理に交渉して今後のお仕事に影響する方が困るので」

 

「キャンセル料は払えないとはっきり言われました」

 

多くが上記のパターンです。アーティストもスタッフもここは殆ど同じような立場で対応している印象です。

 

実際に「今回のケースではもらえないのは仕方がない」と思っていらっしゃる方も少なからずいますが、一方で「信頼していたクライアントに裏切られたような気持ち」と言う方も多いです。

 

アーティストにもスタッフにも生活があり、家族もいます。生活費に充てるお金は、仕事の対価として支払われるギャラがすべてであり、本人の都合以外で中止等になった案件において、ギャランティを補償しなくていいケースなど無い

というのが弊社の基本的な考えです。

当然のことではありますが、今一度この点をしっかりと認識しなおす必要があるのではないでしょうか。

自粛要請を受けての中止だから、というのは理由にならず、キャンセル料とはまた別の話です。社会人あるいは企業としてのまともな感覚と責任感があればキャンセル料を払うべき立場にあるのは発注者であることは言うまでもありません。主催者(クライアント)が払ってくれないから払えない、というのは最低の言い訳であり、これを口にした時点でプロとは言えないと考えています。(明確な契約が無ければ)満額に拘る必要は無いはずです。常識的な金額でお互いが納得して気持ちよく解決できるラインが必ずあります。

 

これをご覧になった方で、キャンセル料を支払うべき立場にある方の中には「実際に本当に払うお金が無い、払ったら自分のところが潰れてしまう」という声もあると思います。本当に分かります。弊社も同じです。従業員もいて、3月も4月もたくさんキャスティングしてしまっていて、年度末には大きな支払いが控えており、新年度には新卒の新入社員がスタンバイしている、税金もある。何も手を打たずにいたら5月には資金がショートしてしまう、こういう状況です。私も当初はとにかく自分の会社を守ることを第一に考えました。しかし、私どもにとって大切な人達の本当に困っている声、未来への不安、この業界や日本という国への失望を伺っていく中で、気付いたことは

 

今回の危機を乗り切ったとしても、

その時に、私たちの仕事に欠かせないアーティストや業界スタッフが一緒に乗り切れていなければ意味が無い

今、本当に優先して守るべきはその重要な存在である。

みんなで乗り切ることができれば、自分のところはなんとかなる、なんとかする

 

ということです。

この気付きをもって、以下の通り弊社の方針としてまとめましたので発表させていただきます。
(各項目とも、より具体的な詳細については別途ホームページ、やSNS(TwitterInstagram)等で順次お知らせいたします)

 

 

(1)キャンセル料の件(アーティスト、業界スタッフの方向け)
 今回の新型コロナウイルス感染拡大防止としてイベント等が中止または延期になり、弊社から依頼していたお仕事ができなくなった方全員にキャンセル料をお支払いします。契約書等で取り決めがある場合はその金額。キャンセル料の取り決めが無い場合は予定していた金額の40~80%を目安として個別に調整させていただきます。
※お支払い手続きは順次進めさせていただいております。
※開催延期となった場合、元の日程のキャンセル料と延期日程の報酬は別のものとしてそれぞれに対してお支払いします。
※対象となるのは、会社等に籍を置かないフリーランスのアーティスト、スタッフ2020年2月、3月、4月分までとなります。

なお、寄せられているご意見の中で「中止ではなく延期で決まった。延期日程のお仕事はそのままいただいたが、元の日程に対してのキャンセル料は無いというのが割と多く、今後も増えることが予想されます。このケース、特徴として発注者側としては「中止にならなかったのだから」という雰囲気で、当然のようにキャンセル料は払わない、払う必要も無いという認識の方が多いです。これはあきらかな間違いで、その元の日程のためにスケジュールを押さえていたのだから、その分の補償は必要です。延期日程というのは、予め確認されていないものであれば仕事を受ける側にとっては「追加」の仕事です。追加の仕事なのですから、費用は発生します。中止にしても延期にしても、事前にそれが決まったからと言って、その空いた日程に代わりの仕事が都合よく入ることなどなかなか無いのです。

アーティストやフリーランスの方をはじめ、この点で悩んでおられた方も多いと存じます。この記事がそのままキャンセル料をいただけることにはつながらないかもしれませんが、何が正しくて、みんなはどうしているのか、という部分が少しでもクリアになれば幸いです。

一方で、発注者(主催者など含む)側の方で、キャンセル料の処理がまだできていない方がおられましたら、ぜひこれをきっかけとしてできる限りのご対応をお願いいたします。きちんとした処理をされる会社と杜撰な対応をされる会社、今回は特にはっきり分かれる傾向があります。こういう時代ですから、すべての記録も記憶も残され共有されていきます。長期的に見れば、キャンセル料の負担は決してマイナスにはならないはずです。

 

 

(2)アーティスト(音楽家)の方向け支援
 この期間、本当に厳しいという声を多数いただいております。緊急事態宣言が出ている期間にできることはかなり限られておりますが、これが解除されてから以下のような対応をいたします。

①アーティストの支援を目的としたコンサートの開催
今回の新型コロナウイルスで被害を受けたアーティストをフォローすることを目的とした企画を多数展開していきます。クラシックからロック、ポップスまでジャンル問わずプロかそれに準ずる方を対象とします。従来のコンサートとの違いについては以下の通りです。

・今回の自粛や中止が無ければ実施しなかった企画です。
・自粛等により被害を受けたアーティストへの収入面のフォローが目的であることを明確にして開催します。
・上記が目的ですので、出演料あるいはチケット売り上げのバックなどの設定はアーティストにとって決してマイナスにはならない条件をご用意します。
※詳細な設定などは、現在様々な関係者の意見を集めて調整を進めております。開催(公演)ごとに異なる設定となる可能性が高いです。
※回数や場所については未定ですが、1000人級ホールから公共施設、ライブハウスまでを想定しております。
※緊急事態宣言解除後もライブハウスやホールなど、室内でのコンサートが即座に通常通り開催していけるとは考えられず、相当長い期間、非現実的な条件や制約が発生する可能性があります。基本的に屋内での演奏となるクラシックの音楽家の方についてはかなり厳しい状況が続く恐れがあることから、屋外でPA機材を使用する形でのコンサートの開催方法も模索します。

 

②既存のコンサートの出演枠の拡大
定期的に開催されているコンサートにおいて、出演者組数の拡大や、従来は個別のブッキングで完結していた案件において、希望者が出演できる枠を設定するなどして、演奏のお仕事の機会を拡大します。

 

③演奏以外のお仕事の提供
 今は演奏は無理でも、できるだけ音楽に関係する仕事がしたい!という方向けに、弊社の業務のお手伝いのお仕事をご用意します。様々なコンサートのコーディネート、ブッキング、企画、印刷物製作、楽器や機材のメンテナンス、倉庫の整理などです。
※通常のアルバイト扱いになるので、面接が必要となります。
※応募状況等によりご希望に沿えない場合があります。

 

 

(3)業界スタッフの方向け支援
 アーティスト同様に、無くてはならない存在である裏方のスタッフ(主にPA関係、照明関係、制作関係)の方向けの対応です。主に緊急事態宣言が解除されてから実施となります。

①業界スタッフの支援を目的としたコンサートの開催
 今回の新型コロナウイルスで被害を受けた業界スタッフの方をフォローすることを目的とした企画を多数展開していきます。プロかそれに準ずる方を対象とします。上記の「アーティスト向け」の部分でお知らせしているコンサートにおいて、開催・運営に必要な各セクションにお仕事として入っていただきます。自粛等により被害を受けた業界スタッフへの収入面のフォローが目的であることを明確にして開催します。
※詳細な設定などは、現在様々な関係者の意見を集めて調整を進めております。
※回数や場所については未定ですが、1000人級ホールから公共施設、ライブハウスまでを想定しております。

 

②現場以外のお仕事の提供
 今は現場は無理でも、できるだけ音楽に関係する仕事がしたい!という方向けに、弊社の業務のお手伝いのお仕事をご用意します。様々なコンサートのコーディネート、ブッキング、企画、印刷物製作、楽器や機材のメンテナンス、倉庫の整理などです。
※通常のアルバイト扱いになるので、面接が必要となります。
※応募状況等によりご希望に沿えない場合があります。

 

③ワークショップ、講座の開催
 スキルアップや新たなコミュニティづくりを目的に、テーマを設けた業界・機材のことを学べる機会をご用意します。緊急事態制限が解除されてからの実施となります。

 

④機材トレーニング環境の提供
デジタルミキサーをはじめとする機材のトレーニングの為に、弊社機材とスペースを無料でご提供します。特にデジタルミキサーなどについては「現場から離れすぎて操作を忘れてしまう」「一度いじり倒して極めたいと思っていた」「今まで触ったことのない卓を試したい」という声があります。従来から弊社とお取引のあるエンジニアの方にはご利用いただいておりますが、今回は実績の無い新規の方も対象とします。新規の方は初回のみ簡単なヒアリングをさせていただきます。

 

⑤機材レンタルをはじめとする弊社サービスを超格安で提供
 今回失った収入を少しでも取り戻していただくため、特別な設定で機材をレンタルいたします。ぜひご活用ください。もちろん具体的な運用方法についてもご提案します。
※原則、弊社とのお取引実績のあるフリーランスの方限定となりますが、今回は「④機材トレーニング~」のご利用も実績とカウントいたします。

 

(4)イベント主催者、イベンター向け支援
 今回の新型コロナウイルスで被害を受けたイベント主催関係者、イベンターの方をフォローすること目的に主に機材やイベント備品のレンタルを格安で提供させていただきます。上記でお知らせしている弊社取り組み同様に、アーティストやスタッフへのお仕事につながるものや市民の方向けの無料のコンサートやイベントが優先となります。

※延期になったイベントは、基本的に予定外の費用が発生してしまっているはずです。その分が少しでもフォローできればという思いです。
※この、弊社の支援企画により「それならウチもイベントをやろうか」という、イベントを主催できる力のある方、ご相談だけでもぜひお願いします。中止なってしまった分以上のイベントを一緒にやりましょう。

 

(5)その他
 最後に、弊社にお仕事をくださっているお取引先様向けの内容です。昨年度までの分で、資金繰り的に弊社へのお支払いが難しいというご相談を多数いただいております。期限までのお支払いが難しい方、そしてこれから弊社に発注される方、ともにお支払い期限を大幅に延長し2021年3月31日まで、とさせていただきます。緊急事態宣言解除後、資金繰りを理由に音楽フェス、イベントなどの開催を断念されることが無いことを願っての限界の設定です。

 

 

以上、5つの項目とさせていただきました。

具体的な内容は決まり次第、ホームページやSNS(TwitterInstagram)で順次発表して参ります。アイデアや提案もありましたらぜひお気軽にお寄せください。

兼ねてから「音楽のまち・かわさき」として相応しく、アーティストやその活動を支える音楽業界スタッフが本当の意味で安心してお仕事ができる環境づくりを目指して事業を進めて参りました。それは、必要な技能や知識を持って、真剣に音楽のお仕事に携わる方々が、他の業種と同様の安定した収入や生活を手にし、まさに今回のような有事の際であっても、最低限の保障がされるような仕組みです。こういった環境により、有力な人材が育ちあるいは川崎に集まり、身近に上質な音楽や楽しいイベントがあふれる、本当の「音楽のまち・かわさき」になるものと信じています。

奇しくも今回の新型コロナウイルスの影響により、それが整っていないことが浮き彫りとなり、多くの方が苦境に立たされています。アーティストやスタッフ(特にエンジニアと言われる方々)はその技術や勘が極めて重要であり、それは日々の修練と“現場”で維持され磨かれていっているものと考えます。それが強制的にストップされ、収入の為に無関係のアルバイト等をしたり、最悪別の道を選ばざるを得ないことになるというのは、その点においてマイナスでしか無いはずです。才能あふれる方や相応の努力をされて音楽に関わるお仕事をされていた方が、音楽から離れなければいけないようなことは絶対に見過ごせません。絶対になんとかしたいのです。

私どもとしては、音楽のお仕事に携わる多くの方への支援こそが今やるべき役割と信じ、今回の方針をまとめさせていただきました。どのようなことがあっても、この問題が本当の意味で収束するまで、本気でやり抜くことをお約束します。音楽は人にとって欠かすことのできない、絶対に必要なものです。必ず皆さんの力が生かせる時が戻ってきます。どうか希望を持ち、諦めずに音楽に関わる活動を継続していただきたいです。

長文に最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました。

NPO法人カワサキミュージックキャスト
理事長 反町 充宏

 

追記:

①NPO法人カワサキミュージックキャストのことは初めてお知りになった方、詳しく知らないという方は、ぜひ「最新カワサキミュージックキャスト事業案内2020年版」をご覧ください。

 

②誤解無きように申し上げますが、弊社に資金が余裕にあるわけではありません。国や行政からの助成金や年間予算をもらって運営している組織ではありません。民間のNPO法人として、約12年前に創業、ゼロからのスタートで一つひとつのお仕事を大切にしながら、つながりを広げてきて現在に至ります。すべて自主財源で音楽業界のお仕事をもって収入を得ています。一般的な会社と同様に納税もしています。今回の支援企画に必要な資金は手を尽くして調達しているところです。

 

③東京都が新型コロナウイルス感染症緊急対策芸術文化活動支援事業「アートにエールを!東京プロジェクト」を発表しております。アーティストやクリエイター向けの支援策で、作品を応募し審査に通れば出演料相当として1人あたり10万円(税込)の補助金がいただけるようです。対象となる方はぜひご活用いただきたく思います。そして、川崎市についても同じような支援事業が近日公開されるようです。新しい情報が入り次第弊社HPでもお知らせします。